2009年10月23日
10月8日 台風の日
我が家の鳥獣たちのかたわらで、ひさしぶりに一日じゅう家にこもって読書をして過ごした(こんな過ごしかたは本当にひさしぶり。2、3年ぶりだろうか)。 ◆ジョージ・スタイナー『私の書かなかった本』みすず書房、2009 先日、近所の書店にて、これは図書館で十分かなと思いつつ中身を覗いていたのだが、所収の章「人間と動物について」から強く激しく触発され、気がついたら本書を手にレジ前に並んでいて万事休す。偉い人にしか書けない素敵な本。こういう本は、ものすごくたくさん本を書いた人か、あるいはまったく一冊も本を書かなかった人が書くと、とてもかっこよくキマる。中途半端な輩(たとえば小生とか)では冗談にもならない。 *-* ◆川上未映子『ヘヴン』講談社、2009 帯の「善悪の根源」云々というキャッチコピーにつられて購入。この人の作品を読むのは初めてだし、ふだん新刊小説をほとんど読まないので、テキトーなことを述べるのも気が引けるのだが、しかしせっかく読んだのでテキトーに記すと、前半は村上春樹の「私小説」で後半は永井均の「倫理学」、といった印象。とはいえ、べつに彼らを思い起こしただけのことで、この作品を貶すつもりはぜんぜんなく。完成度は高いと思う。気に入った登場人物はなんといっても主人公=僕の「母さん」(継母)。ちょっと抜けたところを感じさせるし、微妙にユーモラスで、なんとなく好感を持たざるを得ない。この人がいなければ作品は完結しなかったであろう。 *-* ◆T・アドルノ、M・ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』岩波文庫、2007 言いたいことはよくわかる(気がする)。でも、いちいち小難しくて困る。 *-*こんな一日。